アメリカン・スナイパー【映画】

AMERICAN SNIPER
2014年 アメリカ
クリント・イーストウッド監督
ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー、ルーク・クライムス、ジェイク・マクドーマン、ケヴィン・ラーチ、コリー・ハードリクト、ナヴィド・ネガ―バン、キーア・オドネル、カイル・ガルナー、ベン・リード、エリース・ロバートソン、サミー・シーク、ミド・ハマダほか

冬らしい日がつづいて空気が乾燥すると、ギターの鳴りがよくなる。
そして、「もしかして上達した?」と勘違いして長年のあこがれであるバッハのリュート組曲にチャレンジするのが、私の冬の風物詩になりつつある。

お手本は1974年にロンドンで録音されたジョン・ウィリアムスの演奏。
バッハを聴く喜びをじんわり盛り上げてくれる、紛う方無き名演だ。

ウィリアムスといえば『ディア・ハンター』(1978年)のテーマ曲である『カヴァティーニ』(スタンリー・マイヤーズ作曲)が有名だが、あの曲、もともとはマイケル・チミノの前作『サンダーボルト』(1974年)のために書かれたものなんだとか。
それがまたなぜ『ディア・ハンター』のテーマになったかというと、『サンダーボルト』の主演俳優クリント・イーストウッドが却下したから。
何が気に入らなかったのかは定かでないが、たしかに『サンダーボルト』に『カヴァティーニ』はダメな気がするし、『カヴァティーニ』のない『ディア・ハンター』もダメな気がする。

ま、さすがイーストウッドってことなんだろうね、きっと。

さて、さすがイーストウッドといえば表題の映画。

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クリス(クーパー)は米海軍特殊部隊ネイビー・シールズに入隊し、狙撃手として4度にわたってイラクに派遣されるが……

ずいぶんまえに録画してそのままになっていたテレビ放映にて鑑賞。
ストーリーそのものはクリス・カイル自身が著わした原作とほぼ同じだが、語り手の視点が異なることで、いろいろと整理された印象があったし、主観を交えず淡々と事象だけを語るイーストウッド節が、ことのほか効いていた気がする。

しかし、何がすごいといってそれは、退屈と無縁なところ。
輪郭をはっきり描かないモヤモヤした状態のまま、映画としての娯楽性を132分ダレることなく維持してしまうのだから、やはりイーストウッド監督はただものではない。

主演のブラッドリー・クーパーもすばらしかった。
「米軍史上最多、160人を射殺した、ひとりの優しい父親」(←日本の配給会社のキャッチコピー)を演じるのはたやすいことではないはずだが、すごく自然でリアルだった。

もうひとつ胸に迫るものを感じたのはエンドロール。
ネタバレになるので具体的なことには触れずにおくが、あんなに饒舌な"テーマ曲"って、ちょっと思いつかないかも。

というわけで、これが手本としているジョン・ウィリアムスのJ・S・Bach The Complete Lute Music On Guiter
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師匠は簡単そうに弾いているが、左手が思いのほかややこしく、今年も挫折の予感しかありません。

この記事へのコメント

ごみつ
2020年02月15日 02:34
こんばんは。

ありゃ、Taeさん「アメリカン・スナイパー」初見だったのですね。

私は劇場で見ましたが、静かな迫力がありましたよね。
それにしてもイーストウッドの作家性って、何だかつかみどころがない感じがして、それでも毎回、堪能出来る作品に仕上がっててホント凄いですよね。

エンディングの曲、全く思い出せなくてちょこっと調べたのですが、Funeralでしょうか?
これってエンニオ・モリコーネの曲だったのね!今、知ってビックリしてるところです。しかも「夕陽の用心棒」の中の曲なのね!知らんかったワ~~。( ゚Д゚)

Balkan
2020年02月15日 12:53
ごみつさん、こんにちは!
コメントありがとうございます♪

そうなんです、なぜかすっかり観た気になっていたのですが未見でした。原作を読んで、勝手に完結しちゃっていたのかも……

エンドロール、実は無音なんです。
静けさに圧倒されました。

Funeralは、ラストシーンで使われたみたいですね。イーストウッドはセルジオ・レオーネの作品にたくさん出ているし、いろいろ腑に落ちるものがあります。あらためて聴いてみると、さすがマカロニウエスタン、アメリカの軍人の葬儀でよく演奏されるあの曲をパクった?みたいな曲で、それをこの話に使うって、結構意味深。イーストウッドおそるべしって感じです。