18の罪 【本】

A Prisoner of Memory -- The Year's Finest Crime & Mystery Stories
ローレンス・ブロックほか(田口俊樹、加賀山卓朗ほか訳)
2012年11月20日刊
ヴィレッジブックス ¥880(+税)

毎度のことながら、正月らしいことを何ひとつしないうちに、1月もなかばをすぎてしまった。

正月の恒例行事のなかでいまも自発的におこなっていることがひとつだけある。朝酒だ。本人としては屠蘇のつもりだが、おせちや雑煮がないので、ただの朝酒。ま、今年もおいしく朝酒が飲めたことを、ありがたく思うことにしよう。

さて、おせちといえば、味わいと彩りのバリエーションがどこか高級おせち風だったのが、表題のアンソロジー。
2008年5月にアメリカで刊行されたエド・ゴーマン、マーチン・H・グリーンバーグが編んだ短篇ミステリ集のなかから、以下の18篇が紹介されている。

「純白の美少女」ローレンス・ブロック(田口俊樹 訳)
「つぐない」ジェフリー・ディーヴァー(土屋晃 訳)
「マルホランド・ダイブ」マイクル・コナリー(古沢嘉通 訳)
「ポニーガール」ローラ・リップマン(吉澤康子 訳)
「悪魔の犬」ディック・ロクティ(加賀山卓朗 訳)
「記憶の囚人」ロバート・S・レヴィンスン(加賀山卓朗 訳)
「救い」 パトリシア・アボット(濱野大道 訳)
「死を捜す犬」ブライアン・クォーターマス(濱野大道 訳)
「記念日」ヒラリー・デイヴィッドソン(加賀山卓朗 訳)
「ふつうでないこと」ケリー・アシュウィン(加賀山卓朗 訳)
「犬ほどにも命をなくして」ダグ・アリン(田口俊樹 訳)
「ブルース・イン・ザ・カブール・ナイト」クラーク・ハワード(加賀山卓朗 訳)
「冒涜の天使」ローレン・D・エルスマン(森嶋マリ 訳)
「死が我らを分かつまで」トム・ピクシリリー(濱野大道 訳)
「殺しをやってた」ナンシー・ピカード(森嶋マリ 訳)
「代理人」クリスティン・キャスリン・ラッシュ(森嶋マリ 訳)
「当たりくじ」ビル・プロンジーニ(加賀山卓朗 訳)
「酷暑のバレンタイン」ジョイス・キャロル・オーツ(高山真由美 訳)

いずれおとらぬ名作揃いだが、とりわけ印象的だったのは「犬ほどにも命をなくして」と「殺しをやってた」。前者には落語さながらの味わいが、後者には漫才さながらのテンポのよさがあって、ちょっとした寄席気分が楽しめる。それを言うなら、「つぐない」には紙切りの、「記憶の囚人」にはマリオネットの風情があったかも……

末筆ながら、本年もどうぞよろしくお願いします。


現代ミステリ傑作選 18の罪 (ヴィレッジブックス)
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この記事へのコメント

Mari
2013年01月20日 20:45
『殺しをやってた』は婉曲的な言い回しが多くて苦労したので(登場人物が何もかもはっきり言ったら成り立たない作品だもんね)、気に入ってもらえてほんとうに嬉しい! 
今年は正月早々、栗きんとんを食べそこなうという大失態をやらかしました。記憶にあるかぎり、きんとんを食べなかった正月はいままで一度もなかったのに。この一年が思いやられます。
balkan
2013年01月21日 02:42
マリさん、こんにちは!

『殺しを~』、どうにも噛み合わない会話が怖くて最高でした。で、なぜか、大木こだま・ひびきを思いだして、無性に寄席に行きたくなりました。

いや、もしかすると、正月に栗きんとんと食べなかったせいで、いまだかつてないほどすばらしい一年になるかもしれません。期待しましょう。
そういや、うちの祖母(弘前出身)がつくるきんとんが、りんご入りでめちゃめちゃおいしかった。もういちど食べたい幻のきんとんです。

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