チェスをする女 【本】

La Joueuse d'echecs
ベルティーナ・ヘンリヒス (中井珠子 訳)
2011年2月25日刊
筑摩書房 ¥1800(+税)

待ちに待ったユーロ2012が開幕♪

サッカーを観るようになってもうずいぶんになるが、友人からはいまも「選手の顔しか見ていない」とばかにされている。まったくもってそのとおりなので反論のしようがないが、そんな私にも、チームのよしあしは選手のルックスできまる、という持論がある。調子がいい選手は肌にハリとツヤがあって美しいし、そういう選手がたくさんいるチームには勢いがある。こう見えて私の分析は、結構、科学的なのだ(ほんとか?)。

タフな大会で優勝するためには、もうひとつ欠かすことのできない大切な要素がある。「王子力」だ。チームメイトがこぞって「コイツにはいい思いをさせてやりたい」と思うような愛らしい選手(王子)がいると、チームにまとまりが生まれるのである(ほんとか?)。

近年のスペインの好調の理由は、フェルナンド・トーレスが王子としての責任をきっちり果たしていることにあるし、ドイツやロシアの躍進も、両国の「王子」であるエジルとパブリチェンコが着実に成長していることと無関係ではない。逆に開幕戦でギリシャが勝ちきれなかった原因は、ズバリ、「王子の不在」だ(ほんとか?)。

というわけで、表題の本は政府の財政状態とサッカーチームの王子力に深刻な問題をかかえるギリシャのナクソス島に住む主婦が主人公の物語。

島のホテルで客室係として働く主婦エレニは、ひょんなことからチェスにはまって才能を開花させる。ところが、その島には女がチェスを指すことがスキャンダルになるほど旧弊な社会通念がはびこっていて、エレニの夫も「亭主を笑いものにする気か?」と激怒する。しかし、エレニはあきらめない。そして、彼女のチェスへの情熱が少しずつ周囲の人々に変化をもたらし……

この話には根本的に納得がいかないところがある。ナクソス島がどんな田舎か知らないが、女がチェスを指すことがここまでの大問題になるものだろうか? 夫だけならまだしも、全島民を敵に回すという図式には、いくらなんでも無理があるように思える。
とは言え、その嘘っぽさがある種の“さわやかさ”を醸し出しているのもまた事実。なんとなくどこかで聞いたような話だなあと思って考えたら、なんと「もしドラ」だった。ナクソス島の主婦がチェスすることが、高校野球の女子マネージャーがドラッカーを読むのと同じように、思いがけないこととして扱われているし、甲子園さながらの競技会や、重要な登場人物のひとりとの悲しい別れが用意されているところもそっくり。さらに言えば、ベストセラーになって映画化されたところも「もしドラ」的だ。

それにつけてもナクソス島は美しい。行ってみたいなあ……

チェスをする女
筑摩書房
ベルティーナ・ヘンリヒス


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