ヤギと男と男と壁と 【映画】

The Men Who Stare at Goats
2009年 イギリス/アメリカ
グラント・ヘスロヴ(監督)
ジョージ・クルーニー、ユアン・マクレガー、ジェフ・ブリッジス、ケヴィン・スペイシー、スティーヴン・ラングほか

バカと煙は高いところへ――というわけで先だっての訪名のおり、名古屋テレビ塔に昇ってきた。高さ180メートル。スカイツリーが完成した今となっては、「地味」以外の何ものでもないが、実際のところ、単に街の眺めを楽しむのが目的なら、通りを行き交う人々の姿がはっきり見えるこれくらいの高さがベストかもしれない。

さて、表題の映画は、地味さ加減がどこか名古屋のテレビ塔っぽいユアン・マクレガー主演のコメディ。『実録・アメリカ超能力部隊』(ジョン・ロンスン著、村上和久訳、文春文庫)というノンフィクションがもとになっている。

ボブ(マクレガー)は地方紙の記者。上司に妻を寝取られ、半ばヤケ気味でイラクの戦場へ赴こうとするが、途中、クウェートのホテルで出会ったリン(クルーニー)という自称エスパーの話に興味を覚えて、彼についていくことに。リンが所属していた米軍の秘密部隊“新地球軍”では、ベトナム帰りの軍人でニューエイジかぶれのビル(ブリッジズ)の指導のもと、“ジェダイ”を名乗る隊員が、“ラブ&ピース”の精神で戦争を終わらせるべく、超能力の研究開発に取り組んでいた。が、部隊はダークサイドのラリー(スペイシー)に乗っ取られ……

……というばかばかしいお話だが、マクレガーは妻に逃げられたわびしい中年男を、ブリッジズはイカれたヒッピーのなれの果てを、スペイシーは妬み嫉みのかたまりみたいな野心家を、クルーニーは怪しい(妖しい?)エスパーを、それぞれに好演している。

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でも、これだけの役者が揃っているのに……という歯痒さを感じたのもまた事実。メリハリのなさと、テンポの悪さで、30回ほど笑いそびれた気がするし、かすかな小賢しさも鼻につく。あるいは原作に忠実であろうとした結果かもしれないが、なんとなくもやもやしたところがあって気持ちが悪い。

とはいえ、ある意味、ゴージャスな映画ではある。たとえば、リンから「私はジェダイの騎士だ」と告白されたボブが「はぁ?」みたいな顔をする場面があるのだが、これだけのためにマクレガーを起用したのかと思うと、なんだかとても得をした気分になる。いやはや贅沢は素敵だ。

この記事へのコメント

2012年05月17日 23:49
はじめましてです。
地味に一票です!内容はえ~~?なのにみんな大真面目で、豪華すぎる名優揃えて、、いろんな意味でびっくりでした。
すみません。ついついコメントしてしまいました。
Balkan
2012年05月18日 05:49
るりさん、はじめまして。
コメント、ありがとうございます。ほんと、豪華な映画ですよねえ。ジョージ・クルーニーが製作者に名を連ねてこその豪華さでしょうか。
キラキラ眼力には笑いました。
ごみつ
2012年05月20日 16:17
こんにちは!

これ、公開時から気にはなってたんですよね~。このキャストでこの馬鹿らしい内容。
Taeさんの記事でますます見たくなりました!

ツタヤに予約しよう!
Balkan
2012年05月20日 20:50
ごみつさん、こんばんは!

いや、ほんと、この馬鹿らしさでこの豪華さは前代未聞かもしれません。一見の価値ありです。個人的にいちばんウケたのはケヴィン・スペイシーの嫉妬深そうな目つき! アカデミー賞は伊達じゃない

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