ヒトラーの贋札 【映画】

DIE FALSCHER
2007年 ドイツ/オーストリア
ステファン・ルツォヴィツキー(監督)
カール・マルコヴィクス、アウグスト・ディール、デーヴィト・シュトリーゾフ、マリー・ボイマー他


昨今の私の数少ない楽しみのひとつであるスペインリーグ・サッカーも、今週末が最終節。すでに優勝はバルセロナFCに決まっているが、今シーズン、私はめずらしくレアル・マドリードを応援している。
大好きなメスト・エジルが加入したからだ。
彼の何がすばらしいといってそれは、そこはかとないデカダンスが漂うあの風貌。パリ出張のおりに出会った裕福なマダムに入れ込んで人生を棒に振ったトルコの老舗絨毯問屋の若旦那みたいで、なんだかとってもぞくぞくする。いやまあ、彼の左足からくりだされる美しいラストパスにもぞくぞくするけど。

というわけで、友人に「エジル似の俳優が出てるよ」と言われてテレビで観たのが表題の映画。第二次世界大戦中、敵国経済の攪乱を目的にナチス・ドイツが強制収容所内でおこなったポンドおよびドル紙幣の偽造を描いた作品で、第80回アカデミー賞外国語映画賞受賞作。物語はユダヤ人印刷工アドルフ・ブルガーの自伝『ヒトラーの贋札――悪魔の工房』にフィクションを織りまぜたものらしい。贋札をつくればナチスに加担することになるが、つくらなければ自分たちが殺させる――そんなぎりぎりの状況で、贋札づくりのプロであるサロモン(マルコヴィクス)と、レジスタンスの運動家であるブルガー(ディール)が意地を張り合うことになるのだが、これが見応え満点。観ているほうもいずれの側にもつけずにただただ見守ることになり、ある種の緊張感を共有できるところがよい。ただ、ドラマとしてはじゅうぶんに堪能できたが、ベルンハルト作戦についてほとんど何も知らない私の頭には「なんで?」 「どうして?」と疑問符がつぎつぎに浮かんできて消化不良に陥ってしまったのもまた事実。これはもう、ブルガーの自伝を読むしかないということか。

なお、“エジル似の俳優”は印刷工のひとりとして登場。たしかにちょっぴり似ていたが、彼の場合、裕福なマダムには入れ込まないと思う。

この記事へのコメント

なか
2011年05月20日 21:44
おじゃまします。
私も今季、ワールドカップからエジル見たさにリーガを追いかけたくちで、かつ、アウグスト・ディールのファンなので思わずコメントしちゃいました。確かに顔のタイプ、似てますよね。ディールの出世作に「23」という映画があり、23という数字が世界を支配しているという都市伝説に取りつかれた青年のお話なのですが、エジルの背番号が23に決まった時、おっ!と一人でどっきりしたのを思い出しました。ディールもドイツでは有名な俳優なので、お互いおそらく存在は知ってると思うと不思議な感じもします。
絨毯屋の若旦那には来季ますます活躍して欲しいです。

突然失礼しました!
Balkan
2011年05月21日 02:38
なかさん

こんにちは。
アウグスト・ディール、美形ですよねえ。思えばあれは“何かにとりつかれた青年”っぽい美しさかも。「23」、ぜひ観てみたいです。
でも、私がエジルに似ていると思った俳優は、ディールではなく、台詞がひとつしかないトルコ人風の風貌の印刷工。サロモンが麻布の手ぬぐいを借りる人です。一瞬しか出ないので、「エジル、エジル」と思って観ていないと、わからないかもなあ。(ってそんな人はいませんね、ふつう)
最終節、そして来シーズンの若旦那の活躍、おおいに期待しましょう!

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